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公立双葉准看護学院
専任教員
西内 友里さん
ニシウチ ユリ
向いていないと悩んだ
私にだからできること

1987年南相馬市生まれ。相馬高校を卒業後、東北大学看護学専攻に進学。助産師の資格を取得して2010年虎の門病院に就職。その後、2013年より首都大学東京大学院で学び2015年に修士号を取得。2016年春、帰郷して双葉准看護学院開設準備室の一員となった。

女性の生き方を支える人になりたい

 双葉准看護学院は2017年に南相馬市で再開しました。私は開設準備室からスタッフに加わり、現在1学年の担任と「母子看護」の授業を担当しています。臨床を離れて大学院生になり、「教科書の基本」に戻って研究に取り組んでいた頃に、高校の恩師から「地元の准看護学校で教員を探している」という話を聞いて、戻ってくることに決めました。看護師が不足するなかで人材の育成は急務です。また、この学校には「資格を取って自立を目指す女性を応援する役割もある」と聞いて、以前就いていた助産師の仕事にも通じる部分があると感じました。

 私が医療の道に進むことを決めたのは高校生の時です。福島県では人工妊娠中絶が多いと聞いて、女性が望まない妊娠をしないために活動する保健師の存在を知りました。大学に入って「直接に出産に関われる助産師もいいな」と思って資格を取り、卒業後は産婦人科の病棟で働き始めました。

 ところが、助産師として医療現場に立った途端に私は愕然としました。妊娠は疾患ではありませんが、状況が変わりやすく急変しやすいという特徴があります。時間勝負の中で、理解するまで時間がかかる自分の特性に気づき「向いていない、向いていない」とずっと悩んでいました。

成長のスピードはそれぞれに違うから

 今振り返ってみると、人にはそれぞれに成長できるペースがあります。患者さんと一緒に過ごす時間を大切にしていると見えてくることがあって、みんな少しずつ出来ることは増えていくのです。もし学生が現場に入った後で、「私にはできない」、「無理だから辞めてしまおう」と悩んだ時に相談できる存在になれるかもしれないと思ったのも、私が教員になった大きな理由の一つでした。

 先日、2年生が実習を終えて「患者さんに代わって何かすることが看護だと思う」と発表している学生がいました。まっさらの状態で入学してきて、2年後にこの言葉が出てくることは本当にすごいことです。今まで分からなかったことが分かるようになっていく学生の姿を見るのは、とてもうれしいですし、医療現場に出てからもっと成長していってくれると思うと楽しみです。

 私自身はこの2年間で、これまで「なんとなく」行ってきた看護の業務を改めて考えるようになりました。今までと違う角度から看護を見つめ直す貴重な機会になったと思います。

お話を伺って

 西内さんが教員として大切にしているのは、なにより「分かりやすさ」だそう。大学院時代、言葉の定義や、どんな人にも理解してもらえる話し方と表現を求められた経験が役に立っているそうです。「看護師という職業上、明確さが必要な場面が多くあるので、学生にも言葉の使い方を意識してほしいと伝えています」という言葉から、医療現場と研究者、両方を経験してきた西内さんならではの関わり方を感じることができました。「私自身が学生時代に言われたことが今になって腑に落ちることもありますし、いつか分かってもらえればそれでいいと思います」と話す西内さん。「学生たちが卒業した後でも、悩んだ時に気持ちを整理する力になりたい」と話していました。(ライター 齋藤真弓)

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