INTERVIEW

看護師インタビュー

学生に寄り添い、指導する中で楽しさや喜びを見つける 臨床実習指導の現場

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塙厚生病院/総合南東北病院

島村 拓也さん

Takuya Shimamura

佐久間 司さん

Tsukasa Sakuma

Profile

塙厚生病院 島村拓也さん(左)
白河厚生総合病院付属高等看護学院を卒業後、白河厚生総合病院の呼吸器科に5年間勤務。その後、さらなる専門性を高めるため宇都宮記念病院の消化器外科へ移り、1年間の経験を積む。さらに栃木県立がんセンターにて4年間、呼吸器科・乳腺外科・整形外科・頭頸部外科での診療に携わり、幅広い知識と技術を習得した。3年前より地元に戻り、塙厚生病院の内科・泌尿器科に勤務。現在、看護師として13年目を迎え、地域医療への貢献を目指しながら日々の業務に励んでいる。

総合南東北病院 佐久間司さん(右)
国際医療福祉大学看護学部を卒業後、総合南東北病院の脳神経外科病棟にて6年間勤務。高度な急性期医療の現場で経験を積みながら、患者の回復過程を支える看護を実践した。その後、より幅広い診療領域に携わるため、呼吸器外科・呼吸器内科・放射線治療科の混合病棟へ異動。患者一人ひとりの疾患や治療に合わせた個別的な看護に取り組みながら、後進の指導にも力を入れている。現在、看護師9年目。

  • 臨床実習で知る理想と現実のギャップ

    佐久間|臨床実習に出た時、真っ先に感じたのは“理想と現実の違い”でしたね。教科書で学んだ知識はあくまで理論で、実際の現場では患者さんごとに症状も性格も違うんです。自分の考えがうまく通用しないことが多くて……最初は正直、ショックでした。

    島村|わかりますよ。そのギャップ、私も痛感しました。特に記録物の多さには本当に苦労しましたね。日々の課題に追われて、夜中まで机に向かうことも当たり前。でも、その記録を通して自分の考えを整理できたし、看護の奥深さを学べました。

    佐久間|そうなんです。最初は苦しいけれど、現場の看護師の考え方や仕事の進め方が少しずつ理解できるようになると、看護の“面白さ”や“やりがい”が見えてくるんですよね。その時、やっと自分が成長していると実感できました。

    島村|私も同じですね。実習では、患者さんへのケアを通じて、学びの深さに気づかされました。指導者や医師と相談しながらケアを提供して、患者さんから『ありがとう』と言われたり、声が出せない患者さんが表情で感謝を示してくれたりするんです。その瞬間、今までの苦労が一気に報われるんですよ。

    佐久間|本当にそうですよね。患者さんの笑顔を見ると、自分のケアが少しでも役に立ったんだって、心から嬉しくなります。それが次へのモチベーションになるし、もっと深く勉強したいって自然に思えるようになります。

  • 学生指導で大切にしたい寄り添う姿勢

    佐久間|島村さんとは、福島県の「保健師助産師看護師実習指導者講習会」でたまたま席が近くて知り合ったんですよね。

    島村|そうでしたね。あの講習会は、自分の看護や指導を振り返る良い機会でした。学生にどう向き合うべきか、改めて学べた有意義な時間でしたね。

    佐久間|本当にそうです。特に、“学ぶ人の視点に立つ”という大切さを実感しました。学生は私たちと違って、現場で見るものすべてが新鮮で、戸惑うことばかりです。その気持ちを理解し、何が必要なのかを見極めて助言したいと思っています。

    島村|私もそこは意識しています。最初から答えを教えてしまうのは簡単ですけど、それでは学生が考える力を育てられません。彼らが自分で答えを見つけられるように、きっかけや支えになる“足場”を作ってあげたいです。

    佐久間|学生が来てくれることで、患者さんにもメリットがあるんですよね。看護師は多くの患者さんを同時に看るので、気づけないことも多い。でも学生は一人の患者さんにじっくり向き合える。そうした観察が、患者さんのADL(日常生活動作)の向上や在宅復帰につながることもあります。

    島村|確かに、学生がマンツーマンで患者さんと接することで、私たちでは見逃してしまう変化に気づくことがありますよね。その経験を通して、“気づく力”や看護のやりがいを肌で感じてほしいです。

    佐久間|私たち指導者も、看護の楽しさややりがいを伝えたいですね。学生が委縮して後ろ向きにならないよう、しっかりフォローしていきたいです。

    島村|今の学生は、コロナ禍で人と関わる機会が減ってしまいましたし、核家族化の影響で高齢者と接する経験も少ないんです。だからこそ、実習を通じて、あいさつや目上の方とのコミュニケーションなど、社会人として大切なことも学んでほしいですね。

     

  • 実習を乗り越えるためのエールと未来への希望

    佐久間|臨床実習での学びって、一つひとつが将来につながる大切な経験なんです。最初は誰だってうまくいかないし、戸惑うことばかり。でも、患者さんと向き合う中で、看護師としての楽しさややりがいを少しでも感じられたら、そこから一気に面白くなってきますよ。実習は学びの宝庫です。ぜひ前向きに、積極的にチャレンジしてほしいですね。

    島村|本当にそうですね。医療の世界は日々進歩しているので、看護師は一生勉強が必要な仕事です。私も学生時代、座学は苦手でした。でも、がん医療に興味を持ったことで勉強に対する姿勢が変わりました。自分の好きな分野を見つけることで、勉強のモチベーションって驚くほど上がるんですよ。

    佐久間|わかります。学生時代はテスト勉強や実習で大変な時期が続きますよね。でも、それは自分だけじゃない。みんな同じです。だからこそ、友達とご飯を食べたり、ちょっと遊んだりして、気分転換をすることも大事です。

    島村|そうですね。勉強も大事だけど、オフの時間にリフレッシュすることで心が軽くなります。休むことで次の学びにも前向きに取り組めますしね。

    佐久間|看護師の仕事は、人と人との関わりの中で日々変化があって、決して飽きることがありません。国家試験を乗り越えて、実際に看護師として働き始めると、学生時代には感じられなかった本当の楽しさややりがいを知ることができます。経験を積むほど、できることも増えて、ますます充実していくはずです。

    島村|私もがん医療に興味を持って転職をしたことがあります。今の病院では、退院前・退院後訪問を経験して、地域医療の大切さを実感しています。看護師資格があれば、自分の興味やキャリアに合わせた働き方ができるし、給与も安定しています。勉強や実習は大変ですが、目の前のことに一つひとつ取り組めば、きっと道は拓けます。モチベーションを高く持って頑張ってください。

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