INTERVIEW

看護師インタビュー

県立医大別科助産学専攻春から一期生が助産師に

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福島県立医科大学 別科助産学専攻

堀江 真渚さん

續橋 結花さん

Profile

令和5年4月に開設された福島県立医科大学の別科助産学専攻は、看護師資格保有者が助産師国家試験受験資格を1年間で得られる課程。現在は、1期生20人が真新しいキャンパスで学んでいる。春の修了を控えた二人に話を聞いた。(写真左が堀江真渚さん、右が續橋結花さん)

  • 助産師になるために、先を見て努力を重ねてきた

    ーーー別科助産学専攻入学までの経歴を教えてください

    (堀江)私は福島市出身ですが、高校からは島根県の隠岐島に行きました。その後は山口県の看護専門学校に進学して看護師の資格を取得し、この別科助産学専攻で学ぶために6年ぶりに福島市に戻ってきました。一度は、「大学」に通ってみたかったことや、知り合いの多い地元で学ぶのも楽しそうだなと思ったのが受験した理由です。

    (續橋)私は、郡山市の4年制の看護専門学校を卒業して、別科助産学専攻に入学しました。助産師になるのは中学からの夢で、資格を取得する方法を調べていたら、私が看護専門学校を卒業するタイミングで県立医大に助産学専攻ができるのを知りました。助産師資格は地元で取得したかったので、「ここしかない!」と的を絞って勉強し受験しました。

     

    ーーー助産師を目指すようになったきっかけを教えてください

    (堀江)中学生の頃、産婦人科を舞台としたテレビドラマ『コウノドリ』を見て、出産に関わる仕事に就きたいと思いました。その頃に年の離れたいとこが流産してしまい、改めて「当たり前に生まれてくる命ばかりではないんだな」と思いました。出産の前後でつらい思いをしている女性に寄り添える存在になりたいと助産師を目指すようになりました。

    (續橋)父が医療従事者なので、私を取り上げてくれた助産師さんは父の同僚でもあります。家族ぐるみでお付き合いがある、その助産師さんから「病院で唯一、おめでとうって言えるのが産科だよ」と教えてもらってから、「助産師っていいな」と思うようになりました。また、私もテレビドラマ『コウノドリ』の助産師さんの姿に影響を受けました。

     

    ーーー入学前は、どんな勉強をしましたか?

    (堀江)看護専門学校からの推薦がもらえるように、入学から卒業まで気を抜かないで、毎日勉強をがんばりました。定期テストはもちろん、実習中の評価も関係するので、何事にも全力で取り組んで、内申点を高く取れるようにがんばってきました。

    (續橋)私も看護専門学校から推薦を受けられるように1年生時から意識してきました。それと並行して、一般受験の勉強もしました。別科助産学専攻は1期生ということで過去問がないので、他の助産学校の過去問を集めて解いて確かめるのを繰り返しました。

  • 心に決めた思いを、これからもずっと持ち続けたい

    ーーー入学してからこれまでの感想を教えてください

    (堀江)「助産師になる」と心に決めてきた人たちばかりで、学生みんなの個性が強いです。自分の考えがしっかりありますし、なにより、行動力があります。海外に滞在していた経験がある人や、相手を尊重してやさしい話し方ができる人など、同じ学生の立場の人たちからも多くのことを学んでいます。

    (續橋)入学後、2ヶ月ほど病院に寝泊まりする過酷な実習もあったのですが、希望してきた分野なので、あらゆることが大変でも楽しさがありました。私を頼りにしてくれる産婦さんとの出会いや、「續橋さんがいてくれたから乗り越えられた」と言ってくれた産婦さんもいて、助産師としての喜びや楽しさを感じることができました。

    ーーーこれからどんな助産師になりたいと思っていますか?

    (堀江)お産の経過は人それぞれで、突然帝王切開になってしまうこともありますし、お産がなかなか進まなくて長引いてしまうこともあります。どんなお産に対しても、その人が満足のいくお産の手助けができるような助産師になりたいと思っています。

    (續橋)妊産婦さんと信頼関係を築いて、「どんな時も寄り添える助産師になりたい」と思います。現実には、毎日たくさんの業務があって1人に多くの時間を割くのが難しくなるのかもしれませんが、今の初心を忘れず助産師の仕事を続けていきたいです。

    助産師になりたいと思う人たちに応援メッセージをお願いします。

    (堀江)クラスには、看護師として働いてから入学した人や子どもを育てながら勉強している人もいます。その人たちと話していると、これまでの経験は全て糧になっていると思えるので、たとえ遠回りしたとしても、助産師になりたいという夢を諦めないでほしいと伝えたいです。

    (續橋)受験の日には、自分以外の受験生がみんな優秀に見えてしまいがちですが、自信をもって臨むことが大事です。私自身は面接の時に「自分がどれだけいい助産師になりたいか」を熱く先生に伝えました。普段から自分の思いを言葉にできるように意識して生活するといいのではないかと思います。

取材者の感想

「実習でお産の介助をしていたら、私もいつか産みたいと思った」と堀江さん。「いいお産」「楽しいお産」のエピソードには、少子化に歯止めをかけるほどの大きな影響力があるのではないかと思います。助産師という仕事への愛にあふれる二人は、これから先、妊産婦さんに寄り添いながら「また産みたい」と思えるような「いいお産」を福島県内でたくさん実現してくれそうな気がしました。

ライター 齋藤真弓