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INTERVIEW

看護師インタビュー

子どもの命に寄り添う看護 小児プライマリケア認定看護師としての挑戦

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福島県立医科大学附属病院 小児プライマリケア認定看護師

大邑 友理恵さん

Yurie Ohmuro

Profile

福島市出身。福島県内の高校を卒業後、福島県立医科大学看護学部に進学し、看護師の道へ。卒業後は同大学附属病院に勤務し、小児病棟での経験を経て、PICU(小児集中治療室)勤務の傍ら、さらなる専門性を求め、令和6年度に小児プライマリケア認定看護師の資格を取得。現在も同院PICUに所属し、患者の急性期ケアはもちろん、家族支援やチーム医療の調整にも力を注いでいる。院内では小児に関わるスタッフへの指導や、小児看護に関する勉強会の企画・運営にも携わり、後進育成にも積極的に取り組んでいる。

  • 小児病棟での看護経験を経て、重症の子どもたちが入院するPICU(小児集中治療室)での看護を続ける大邑友理恵さん。

    看護師10年目を迎えた今、小児プライマリケア認定看護師として、子どもたち一人ひとりと向き合う時間にどんな思いを抱いているのか。日々の実践の中で感じてきたやりがいや苦労、そしてこの仕事ならではの魅力について、お話を伺いました。

  • 子どもたちが安心できる場所でありたい

    「小児看護って、どこか可愛らしいとか、楽しいイメージを持たれるかもしれません。でも実際は、命と向き合う現場でもあります」
    そう語る大邑さんが看護師を志したのは、きょうだいや祖父の入院がきっかけでした。看護学生の時に、小児の実習で病気と闘う子ども達に心を打たれ、「自分も誰かの支えになれる仕事がしたい」と思ったのが小児看護に関わるようになった原点だと話します。

    生まれて間もない赤ちゃんから、思春期を迎える子どもまで、年齢も発達段階も異なる小児患者への看護は、対象の幅が広く、常に柔軟な関わりが求められる現場です。

    「私たちが向き合っているのは、“治療”だけじゃありません。点滴や処置の怖さを和らげる声かけや、体調の良い日に一緒に絵本を読んだり、おもちゃで遊ぶ時間も、大事な看護のひとつです」

    重症の子どもたちが入るPICUでは、状態の急変や退院までの見通しが立たない状況も多く、より繊細な対応が求められると言います。それでも「その子に合った関わりができたと感じられた場面に、やりがいを感じます。」と話してくれました。

  • 親御さんの“想い”にも応えるために

    子どもの病気や入院は、保護者にとっても日常が一変する出来事です。
    「“入院中のことは全部知りたい”という親御さんもいれば、“知らなければ不安だけど、聞くのも怖い”という方もいます」と大邑さんは言います。
    「どこまで伝えるか」「どんな距離感で関わるか」は、マニュアルにはない、個別の状況に応じた対応が求められるもの。相手の反応や言葉の選び方を読み取りながら、いつも悩みながら関わっていると語ります。

    そんな中で心がけているのは、“正確に、そして丁寧に伝える”ということ。
    たとえば治療や検査の説明では、難しい言葉をかみくだいて伝えながら、不安な気持ちに寄り添った声かけをしている。
    「“あの看護師さんがいるから安心できる”と思ってもらえるように、親御さんのペースを大切にしたい」
    その静かな決意が、言葉や振る舞いからにじみでていました。

  • 子どもの変化に気づける目を

    「子どもは年齢や病状、治療など様々な理由で、「痛い」や「つらい」を明確に伝えられないことが多いんです」看護師になって10年、大邑さんが一貫して大切にしているのは、“見逃さない観察力”。
    顔色や仕草、目線、食事の様子、泣き方の違い──。そのすべてが、体調の変化や心の動きを知らせるサインになるといいます。

    新人の頃、先輩から教わった「その子が普段と違うところに気づける目を持つこと」。
    今ではその言葉を、自分が後輩たちに伝える立場になりました。
    「病棟の中には、処置や点滴だけでなく、“遊ぶ看護”もあるんです。一緒にお絵かきしたり、絵本を読んだり。そういう時間の中で、ふとした変化に気づけることもあります」

    関係性の中でしか得られない“気づき”を、子どもたちは日々発信している。そのサインを受け止められる看護師でありたいと、大邑さんは静かに語ってくれました。

  • 子どもが好き、だけでは続けられないけれど

    最後に、大邑さんに小児看護を目指す学生や若手看護師へのメッセージを伺いました。

    「“子どもが好き”っていう気持ちは、最初のきっかけとしてはすごく大事。でも、現実には、つらい場面も、受け止めきれない思いに向き合うこともあります」

    それでもこの仕事を続けられているのは、「この子の力になりたい」と思える出会いがあるからだといいます。
    「笑顔に出会えたとき、“今日一日がんばってよかった”って思える。そんな瞬間があるから、また明日も頑張ろうと思えるんです」

    子どもたちの未来の力を信じ、日々の小さな変化に寄り添い続ける。
    大邑さんの目に映るのは、“今”だけでなく、その先に続く笑顔の時間。
    小児看護の仕事の本質が、穏やかな話しぶりの中からも確かに感じられました。

    インタビュー動画はこちらから